任用と勤務時間(臨時的任用職員 京都府)

《任用》

①臨時的任用職員は地方公務員法によって任用期間が定められています。地公法22条の2による採用で任用期間の定めがあるフルタイムの労働を行う者 で、公務員の一般職に準ずるものです。法律の適用は地方公務員法ですから、いくつかの問題点(社会保険など)を除いて正規教職員と扱いは同じです。

②任用期間は6か月とし、任用期間の更新を1回を限度に行い通算12か月の任用が可能です。育休代替教員は6が月を超える任用期間がある場合もあります。

③これまで年度末の3月31日を「空白の1日」として任用しない期間と位置付けていたものが日教組やきょうと教組との交渉で無くなり、実質的な継続雇用となっています。

④臨時的任用職員には「解雇」があります。通常「任用期間」の終了をもって「更新」されない場合は自然に解雇となります。任期途中での解雇は労基法に基づき「30日以上前」に通告する必要がありますが、正当な解雇理由が見当たらない場合は「不当解雇」あるいは「雇止め」の可能性がありますから、出来るだけ早く組合などに相談することをお勧めします。

⑤これまで臨時的任用職員(常勤講師)の給与は上限が定められていましたが、20年以上の経験を有する常勤講師を教諭職(2級格付)の給与が支給されるようになりました。

《勤務時間》

 「8時間労働」というのは働く人の常識にもなっている言葉です。労働基準法でも「1日8時間、週40時間」の労働が定められています。あわせて「労働時間(第32条)使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて労働させてはならない」とし、違反した使用者に罰則を設けています。京都府では、休憩・休息の考え方から「1日7時間45分、週38時間45分」に決められています。

 「遅くまで仕事をしているのは熱心な学校」という間違った考え方を管理職が持っていたり、そうした思い込みや習慣にならされてしまっている教員の意識も改善していかないとなかなか解決しない難しい問題でもあります。健康で働きやすい職場を作るのは教育行政の責任であることはこれまでも何度もきょうと教組と教育委員会との交渉で確認しています。

 始業時間や終業時間の管理は監督責任者の義務で、「どの職員がいつ来ていつ帰った」かを管理職が知らないということは許されません。「きょうと教組」の長年の要求によってICカードやコンピューターの稼働時間などの記録によって「時間管理」をしていく方法が定着しつつありますが、いざという時のためにも個人的なメモを取っておくということは大切なことです。

1 教職員の勤務時間

職員の勤務時間は、休憩時間を除き、4週間を超えない期間につき1週間当たり
38時間45分
日曜日及び土曜日は、週休日
月曜日から金曜日まで、1日7時間45分の勤務時間
祝日法に基づく休日と年末年始の休日(12月29日~1月3日)は休み
土・日・祝日に「勤務を命じたら」、代休を設けないといけない

2 休憩時間(京都府給与条例でも同じ定めがあります)

6時間を超えて働く場合は少なくとも45分休憩、8時間を超える場合は
1時間の休憩が必要
休憩時間は、一斉でないといけない
休憩時間は自由に利用できるし、職場を離れてもよい

 実際にはほんとんど《休憩時間》をとることができません。かつては勤務時間の後ろに《休憩時間》をくっつけるということがあったのですが、変則的だとの指摘を受けて取りやめになりました。ですから、業務に支障がないなら「休憩時間をとります」といって職場を離れる(郵便局や銀行、買い物に行くなど私用につかう)ことは可能なのです。

3 時間外勤務(教員)

 教員以外の人は、時間外勤務(超過勤務)をすれば超勤手当を受け取ることができます。職場の取り決めによって異なりますが、およそ時給の1.5倍の手当になります。

 《京都府給与条例37条》では、教員の時間外勤務は原則的に認め(ない)られない。ただし、特別な業務に限り(限定4項目について)時間外の勤務をさせることができる、となっています。反対にいえば自主的・非自主的を問わず、時間外勤務をしても超過勤務手当については対象外だということです。これは《公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)》によって決められていました。近年の「働き方改革」論議で給特法は大きな批判を浴び、2019年に《改正給特法》が成立しました。しかし、改正は不十分なもので学校現場の超勤削減が進むかどうかは予断を許せない状況です。

 《給特法6条》には「限定4項目」を命じる場合、「教育職員の健康と福祉を害することとならないよう勤務の実情について十分な配慮がされなければならない」と但し書きがあります。

校外実習その他生徒の実習に関する業務
修学旅行その他学校の行事に関する業務
職員会議に関する業務
非常災害の場合、児童又は生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合その他やむを得ない場合に必要な業務

●「限定4項目」などで時間外勤務を命じた場合に管理職はいわゆる「回復措置」を講じなければなりません。
《教職員》は、時間外勤務を命じられた日の前4週間、後16週間の間に休日を設けなければなりません。
《事務職員》は、時間外勤務を命じられた日の前4週間、後16週間の間に休日を設けなければなりません。

●実際は「休憩時間」と同じように「限定4項目」以外の仕事では、ほとんど時間的なけじめがついていないのが現状です。

●《きょうと教組》は、府教委や市教委に超勤実態を明らかにして超勤を減らすよう働きかけています。

●《きょうと教組》は、理不尽な超過勤務を強いるような職場にあっては組合員からの相談にのったり、場合によっては管理職への申し入れを行いながら改善に努力しています。

4 時間外勤務(教員以外)

 教員以外の人は、《京都府給与条例37条》で「公務のため臨時又は緊急の必要がある場合に、時間外勤務を命ずることが出来る」とされています。これは、週休日や正規の勤務時間(7時間45分)外に、時間外勤務を命ずることができるという規定です。この時間外勤務については①週休日の勤務の場合は休日の振替が原則です。それへの手当ては支給されません。②正規の勤務時間(7時間45分)を超える時間外勤務については、「勤務1時間当たり給与額×割増率×従事時間」で計算される時間外勤務手当が支給されます。

●「時間外勤務手当」が支給されるから、いくらでも残業を命じても良いというわけではありません。労働省告示で「時間外労働をさせる場合の限度時間」を月45時間以内とされています。

●また、「時間外労働をさせる場合の限度時間」を超える場合には36(さぶろく)協定を締結する際に「特別条項」を設けて「限度時間」を設定する必要があります。

●いずれにしてもこれらの規定は、「労働時間を制限する」ためのものであって、無制限の労働を許すものではありません。

●《きょうと教組》は、理不尽な超過勤務を強いるような職場にあっては組合員からの相談にのったり、場合によっては管理職への申し入れを行いながら改善に努力しています。

5 解雇通告(教職員全て)

●「当初の任用期間の途中で任用事由が消滅した場合、その時点で解雇予告を行い、その翌日から30日間(残日数が30日未満の場合は残日数)、任用を継続する」

●上記の記述は、例えば育児休業の臨時的任用とされて任用されたが当該の教職員が育児休業を早めに終了したケースが考えられますが、仮にその解雇が不当な場合は教育委員会と交渉する余地があります。速やかに⦅きょうと教組⦆に相談してください。

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