これまで日本では、男性と女性とで家庭を作ることが「当たり前」とされてきました。けれども、世界的な潮流としてLGBT(セクシュアルマイノリティー)の権利保障や男女別姓への要求など家庭の在り方に対する考え方が大きく変化してきました。日本政府の対応は不十分で、LGBTへの権利保障などの法的整備は現在検討中とのことです。 それに先駆けて、 京都市は2020年9月の「京都市パートナーシップ宣誓制度」(同要綱)を開始し、2021年4月、結婚休暇を初めとする休暇制度をパートナーシップ関係にある人にも適用することとしました。多様な性の尊重の観点からは大きな前進で、「宣誓制度が導入されていない市町村に居住している場合等において、本市の宣誓制度の対象となる関係と同等程度の関係があると認められる者」とあることや「要綱」が「養子縁組」のことに言及しているのも評価できます。きょうと教組は、子どもや教職員のLGBTに対する正当な権利が保障されるように教育委員会に要請してきましたが、一定の成果が得られたものとの認識をしています。 「制度」ができたことは評価できるものの、実際の運用に当たっては「カミングアウト」や「アウティング」にたいする繊細な配慮が必要になってきます。 例えば、休暇取得に当たっては管理職や事務担当者へのカミングアウトが不可避になりますが、プライバシーを守ることが十分に保障されてこそ始めて権利を行使することができます。そうした観点から、私たちはアウティング防止を強く求めてきましたが、この通達では配慮事項としてふれるだけで十分な内容とはいえません。残念ながら、管理職や事務担当者にLGBTやパートナーシップ関係にあることをカミングアウトしたくない、できない現実が未だに多々あります。これを機会に大人や子どもたちの多様な性の尊重について人権研修を深め、この制度を活用できる学校づくり、社会づくりへとつないでいくことが大切です。 きょうと教組では、セクシュアルマイノリティの人たちの権利が正当なものとして受けいられられる社会を目指すとともに現場での権利侵害や困りごとに対処する活動(関係スタッフの確保)をしています。プライバシーの保護には十分注意していますので、気軽にご相談ください。
●詳細については、教職員の権利手帳(京都市)を参照してください。
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